| A2 使用者が労働者を解雇する時は、原則として少なくとも30日前までに、解雇する旨を伝えなければなりません。 もし、解雇予告を行わずに解雇する場合、解雇前3ヶ月の平
 均賃金(ボーナスは除く)の30日分を払わなければならないとされています。
 
  このお金を解雇予告手当といい、このようなシステムを解雇予告制度といいます。
  ちなみに、解雇予告手当は、以下のような計算式によります。
 
   解雇予告手当=平均賃金×(30日−解雇予告期間) 
 
  仮に、10日後に解雇したいという時は、20日分の予告手当を支払えばよいということになっています。
 
  
  ただし、以下の労働者には解雇予告制度は適用されません。
 
 1. 日々雇入れられる人。
    (2ヶ月を超えて引き続き使用されている者を除く)
 2. 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
    (所定の期間を超えて引き続き使用される者を除く)
 3. 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者
    (所定の期間を超えて引き続き使用される者を除く)
 4. 試用期間中の者(14日を超えて引き続き使用される者を除く)
    ※通常、試用期間は1ヶ月から3ヶ月程度だと思いますが、たとえそのような
     試用期間中の場合であっても、14日を超えて雇用されていた者が解雇を通告
     された時は、解雇予告制度の適用を受けます。これは、たとえ会社が試用期間
     中のものは適用外だと言っても、実際は適用されます。
 
  したがって、上記1〜4に該当しなければ、パートやアルバイトでも解雇予告手当を請求することが出来るということです。(詳細は後述)
 
 
  また、解雇予告を受けてから、予告期間が満了しないうちに業務上負傷したり疾病にかかったりした場合は、療養のため休業する期間及びその後30日間は解雇が制限されます。
 
  ただし、解雇予告が無効になるのではなく、一旦その時点で日数カウントが停止される形になります。解雇制限期間が経過した後、再び残りの日数カウントが始まります。
 
 
  それから、期限を定めずに解雇通告をされて、それに対して承諾もせず異議もとなえずしたまま、30日間経過すると、その30日を経過した時点で解雇の効力が発生するという最高裁
 の判例があります。
 
 
  なお、民法上は、期間の定めがある契約(年俸制契約を含む)の場合は、3ヶ月前までに解雇通知することが必要とされています(民法第627条第3項)。ですから、その解雇が使用者
 側の一方的なもので、当事者の合意による解約でなければ、3カ月分の給与を民事上の損
 害賠償として請求することが可能であるといえます。
 
  ただし、それは労働基準法に基づくものではないので、労働基準監督署に訴えても「管轄外」とされる可能性が高いといえます。
 
  最終的な判断は、裁判所ということになります。
  
 <即時解雇通告に対し、辞めちゃえ!と思ったとき>
  ある日突然、「明日から来なくていいよ」って言われ、そこまでの給料を渡されて、「ハイ、サ 
                ヨナラ!」ということだったら、内容証明郵便 を出して、30日分の賃金をちゃんと貰いましょ 
                う。これは、上記のようにちゃんと法律で定められていることなので、会社は支払わねばなり 
                ません。
                 *辞めたくない人については、後述します。
 
 <使用者が解雇予告手当を支払う必要がない場合>
 ●天災事変その他やむを得ない事由のため、事業の継続が不可能な場合
  *天災事変・・・地震・火災・洪水などの自然災害や、戦争・内乱などのこと。
  *その他やむを得ない事由・・・天災事変に準ずる不可抗力的な事由。
 
 ●労働者の責に帰すべき理由がある場合で、労働基準監督署長の認定を受けた場合。この際は、30日前の予告や解雇予告手当の支払をすることなく即時解雇することができます。
 
  *労働者の責に帰すべき事由・・・背任や横領、企業秘密の漏洩、重大な経歴詐称な               ど非常に悪質で重大な服務違反。
 
 
 <解雇予告手当が支払われない場合>
  まず、会社に解雇予告手当を支払うよう直接請求しましょう。
  会社が話し合いに応じてくれなければ、内容証明郵便 で請求します。
                 (内容証明郵便は、行政書士等の専門家の名前が入っているとより効果的です)
 
  それでも、支払われない場合は、労働基準監督署に申告します。
 (この時のために、内容証明郵便の謄本や、解雇通知書など証拠になりそうなものを揃えておきましょう)
 
  会社が労働基準監督署の勧告にも応じず、支払を拒否する場合は、最終手段としての訴訟ということになります。
 
 
                   NEW!「おまえ、クビ!もう来なくていいよ。」と言われた方!
 
 
      
 
 |