<支払督促>
支払督促とは、金銭等の請求につき、申立人の申立だけに基づいて裁判所が行う略式の手
続きです。「簡単・迅速・安価」に裁判所からの「支払督促」を送ってもらえます
申立人が相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に支払督促申立書を提出すると、書類に
不備がなければ、裁判所は相手方に支払督促を発付します。つまり、相手方の言い分を聞くこ となしに、即座に支払命令を出してくれるのです。
もちろん相手方は、異議を申し立てることは可能です。ただし、支払命令が出てから2週間以
内に異議申し立てをしなければなりません。もし異議申し立てがあると、「訴訟」という別の手続 きに移っていきます。
異議申し立てがなければ、それから、30日以内に仮執行宣言の申立を行い、これを受けて
裁判所は、強制執行に移ります。
●メリット
@手続きが簡単。
・通常の訴訟(裁判)とは異なり、裁判所は書面審査だけを行い、問題がなければ相手方に支
払督促を送ってくれます。また、提出する書類も、簡易なものです。
A請求額の制限が無い。
・少額訴訟(上限60万円)や簡易裁判(上限140万円)のような請求金額の制限はありません。
B手続き進行が早い。
・訴訟と違い、事情聴取や証拠調べなどは一切行われませんので、非常に迅速です。相手方
から異議がなければ、早くて1ヶ月余で 強制執行手続が可能となります。
C費用が安く済む。
・通常の裁判の半額以下で済みます。
●デメリット
@金銭等の請求にしか利用できない。
A相手方の住所を管轄する簡易裁判所に申立てせねばならない。
(ただし、郵送による申立ても可)
B相手方が異議を申立てた場合には通常訴訟(裁判)へ移行するので、せっかく申し立てた支
払督促手続きが無駄になってしまう。
また、相手方の住所地で裁判が行われるので、遠隔地(実家に帰ってしまったときなど)の場
合は厳しい。
●支払督促が有効なケース
@相手方との間で債務の存在や金額に争いはないが、なかなか支払ってくれない場合。
A相手方は裁判までする覚悟はなさそうな場合。
B自分に確固たる証拠があるなど、勝算がある場合。
※どんな場合でも、通常の訴訟になる可能性はあるので、それを認識して手続きを行う必要があります。
●支払督促が適切でないケース
@お互いが主張する請求額や事実に食い違いがある場合。
・相手方が、ちゃんと支払ったとか、金額が違うとか言っているような場合は、相手方が異議申
立を行う可能性が高くなります。そういう際は、支払督促手続よりも直接訴訟を起こした方がよ いでしょう。
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